相続

遺産分割でマンションの評価額はどう決める?揉める3つの理由と解決の道筋

遺産分割でマンションの評価額の決め方に法律上のルールはなく、相続人間で揉めやすい論点です。揉める3つの理由と代償分割における評価額の重要性、中立な鑑定評価書による解決策を不動産鑑定士が解説します。

著者:吉田 健人·読了 約6
遺産分割でマンションの評価額はどう決める?揉める3つの理由と解決の道筋

「マンションを相続する兄は『古いから大した価値はない』と言い、代償金を受け取る側の自分は納得できない」。遺産分割の話し合いで、マンションの評価額の決め方をめぐって身動きが取れなくなっていないでしょうか。

実は、遺産分割協議におけるマンションの評価額には、法律で定められた唯一の決め方がありません。相続人全員が合意すればどの金額でも成立する一方、合意できなければ紛争になります。高級マンション・タワーマンションを専門とする当事務所の鑑定士の立場から、評価額で揉める構造と、その解決の道筋を整理します。

遺産分割でマンションの評価額が揉める3つの理由

理由1:評価方法が複数あり、金額が大きく異なる

マンションの「価値」を示す数字には、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価等に基づく評価)、不動産会社の査定額、鑑定評価額など複数の種類があり、同じ物件でも数千万円単位で開くことがあります。とくにタワーマンションでは、相続税評価額は補正後でも市場価格の6割程度にとどまり得るため、「どの数字を使うか」自体が争点になります。

理由2:立場によって利害が正反対になる

マンションを取得する相続人は評価額が低いほど有利で、代償金を受け取る相続人は高いほど有利です。双方が自分に有利な数字を持ち寄るため、話し合いは平行線をたどりがちです。

理由3:情報格差が不信を生む

物件に住んでいる相続人と遠方の相続人とでは、管理状態や周辺相場についての情報量が違います。「本当はもっと高いのではないか」「不利な事情を隠しているのではないか」という疑念は、金額の差以上に協議を難航させます。とくにタワーマンションは階数や眺望で同じ建物内でも価格差が大きく、「同じマンションの成約事例」がそのまま参考になるとは限らないため、当事者だけで相場観をすり合わせるのは容易ではありません。

代償分割では評価額がそのまま代償金を左右する

マンションのように分けられない資産では、代償分割(相続人の一人が不動産を取得し、他の相続人にその持分に見合う代償金を支払う分割方法)がよく使われます。このとき代償金の計算基礎となるのは、一般に相続税評価額ではなく分割時の時価とされます。

つまり評価額が1,000万円違えば、支払う代償金も相続人の頭数に応じて数百万円単位で変わります。評価額の決め方は、遺産分割の実質的な損得そのものなのです。

「いつ時点の価格か」も争点になる

見落とされがちなのが評価時点の問題です。相続開始から分割協議の成立までに数年かかることは珍しくなく、その間にマンションの市場価格が大きく動いていれば、「相続開始時の価格」と「分割時の価格」のどちらを基準にするかで結論が変わります。遺産分割では一般に分割時の時価が基準とされますが、評価時点の設定を含む法律判断については、弁護士にご確認ください。鑑定評価では、依頼目的に応じて価格時点(価格判定の基準日)を明示して評価を行うため、この論点を曖昧にせず協議を進められます。

中立な鑑定評価書による解決

「誰の味方でもない数字」が協議を前に進める

利害が対立する場面で必要なのは、どちらの相続人にも与しない中立な時価です。鑑定評価書(不動産鑑定評価基準に基づき、国家資格者である不動産鑑定士が作成する評価書)は、評価の根拠・採用資料・計算過程がすべて記載されるため、相続人全員が同じ土俵で検証できます。査定額と異なり売却の仲介獲得といった営業目的を含まないこと、家庭裁判所の調停・審判でも資料として通用する形式であることも、協議の膠着を解く力になります。当事務所では、弁護士の先生からのご依頼で、調停資料としての鑑定評価書を作成するケースも想定した体制を整えています。

40万円〜

正式な鑑定評価書の費用目安

協議の初期段階では調査報告書(簡易鑑定)20万円〜の活用も可能です

まとめ

  • 遺産分割におけるマンション評価額の決め方に唯一のルールはなく、評価方法の違い・利害対立・情報格差の3つが揉める原因になる
  • 代償分割では評価額がそのまま代償金の額を左右するため、根拠のある時価が不可欠
  • 中立な鑑定評価書は、根拠と計算過程を全員が検証でき、調停・審判の資料にもなり得る
  • 分割方法の法律判断は弁護士に、税務の取り扱いは税理士にご確認ください

マンションの評価額をめぐって協議が進まずお困りの相続人の方、案件を担当されている弁護士の先生は、ぜひ一度ご相談ください。初回の無料相談で、鑑定評価の必要性と概算費用をご案内します。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

FREE CONSULTATION

鑑定が必要かどうかのご相談だけでも歓迎です

記事に関連するお悩みについて、不動産鑑定士に直接ご相談いただけます。

関連記事

電話で相談無料相談を申込む