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同族間売買・親族間売買のマンション時価 ― なぜ鑑定評価が「保険」になるのか

自社と社長個人、親と子──身内の間でマンションを売買するとき、価格はいくらにすべきか。「時価」を外したときの課税リスクと、不動産鑑定評価が果たす役割を整理します。

著者:吉田 健人·読了 約5
同族間売買・親族間売買のマンション時価 ― なぜ鑑定評価が「保険」になるのか

「会社名義のマンションを社長個人に売りたい」「親のタワーマンションを子が買い取りたい」──同族間・親族間の不動産売買は、第三者との取引と違って価格交渉が働かないため、いくらで売買するか=時価の設定がそのまま税務リスクに直結します。本記事では、身内の売買で時価が問題になる理由と、鑑定評価の使いどころを解説します。

なぜ身内の売買は「時価」が問題になるのか

低すぎる価格・高すぎる価格のリスク

第三者間の売買であれば、合意した価格がそのまま時価と推定されます。しかし同族間・親族間では利害の対立がないため、税務上は「その価格は時価か」が常に問われます。

  • 時価より安く売った場合:買主側に「みなし贈与」(個人間)や受贈益課税(法人が買主)のリスク
  • 時価より高く売った場合:売主側への寄附金認定(法人が売主)や、役員への経済的利益供与の問題
  • 法人・個人間の取引:法人税・所得税・贈与税が複合的に絡み、否認された場合の影響が大きい

「相続税評価額で売買すればよい」は危険

実務でよくある誤解が、「路線価ベースの相続税評価額で売買すれば安全」というものです。相続税評価額は市場価格より低く設定されているのが通常で、特にタワーマンションでは区分所有補正率の導入後もなお時価との差が残ります。市場価格と大きく乖離した価格での身内売買は、価格の根拠を問われたときに説明が困難です。

時価の根拠として鑑定評価書が果たす役割

「第三者ならいくらで買うか」の客観的な立証

同族間売買における時価とは、突き詰めれば「利害関係のない第三者間で成立するであろう価格」です。不動産鑑定士による鑑定評価書は、取引事例や収益性の分析を通じてこの価格を論証する、国家資格者による公式の書面です。

  • 税務調査で価格設定の根拠を示す事前の備えになる
  • 株主や他の親族など、利害関係者への説明資料になる
  • 売買契約書・取締役会議事録に添付する意思決定の記録になる
CASE STUDY事例に基づく架空シナリオ

資産管理会社から代表者個人への売却

価格の根拠が求められた同族間売買で、鑑定評価書を取引の基礎資料としたケース

資産管理会社が保有する築15年の湾岸タワーマンション住戸を、代表者個人に売却したいという案件。顧問税理士から「価格の客観的根拠を用意すべき」と助言があった。

同一棟・競合棟の成約事例の分析に収益性の検証を加えて鑑定評価額を算定し、評価額を基準に売買価格を決定。鑑定評価書を売買契約書・議事録とともに保管することで、税務・株主対応の両面で説明可能な取引として完了した。

高額物件ほど「差額」のインパクトが大きい

1億円のマンションで時価の見立てが2割ずれれば、差額は2,000万円です。高級マンション・タワーマンションの同族間売買は、鑑定費用(当事務所では正式鑑定評価書40万円〜)に対して、リスク回避の効果が大きい類型といえます。

ご依頼の流れと必要書類

同族間売買の鑑定は、通常2〜4週間で鑑定評価書を納品します。登記情報や管理費資料など、必要書類の多くは当事務所側で取得・調査できますので、まずは物件の所在と売買の背景をお聞かせください。取引スキーム全体の税務は、顧問税理士の先生との三者連携で進めるのが確実です。

まとめ

  • 同族間・親族間売買は価格交渉が働かないため、時価の立証責任が常について回る
  • 相続税評価額での売買は、時価との乖離ゆえにかえって危険な場合がある
  • 鑑定評価書は「第三者ならいくらか」を示す客観的根拠として、税務調査への事前の備えになる

自社保有マンションの売却をご検討中の経営者様、顧問先の同族間取引で時価算定が必要な税理士の先生は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談・お見積りは無料です。

免責事項

本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。

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